晴れて内定を勝ち取り、希望するコンサルティングファームに入社した場合、特にコンサルタント業界の未経験者に向けて私からまず初めに気を付けるべき点(というと大袈裟ですが)を挙げてみたいとともいます。
- クライアントに常駐
- バリューを求められる
- 自分のキャリアは自分で作る
の3点です。
クライアント先に常駐
郷に入れば郷に従え
プロジェクトにアサインされると、基本的にはクライアント先に常駐して業務(プロジェクト)を遂行します。クライアント先では入館証等を貸与されて他の社員と同じように出社することになります。
会議室を貸し切って、コンサルタントメンバだけのプロジェクトルームを準備してくれるような場合以外は、一挙手一投足がクライアントにチェックされていると思って行動しても良いと思います。一挙手一投足は極端な話で、自意識過剰と思われるかもしれませんが、そのくらいの気持ち・緊張感を持ち業務をする必要があると思います。
特にプロジェクトの初めのうちは、クライアントもこちらを注目していることが多いため、周りを伺いその場の空気を感じで行動した方が良いです。「郷に入れば郷に従え」です。
あるプロジェクトでは、CSRの実施のためにゴミの分別ルールが非常に厳しかったのですが、一部で順守できないコンサルタントのおかげでプロジェクトの存続危機にまで発展したこともあります。
ルールを軽視したコンサルタントにとっては、「たかがゴミの分別」であっても、クライアント企業にとっては、企業レベルの取り組みであることもあります。
会話の内容は特に注意
他のプロジェクトの話や電話での自社の人間との会話は特に注意が必要です。
気を付けないと別のクライアント名を出してしまう、悪気がなくても軽い気持ちで憎まれ口を話す、知らず知らずの内にクライアントにチェックされていることがあります。
加えて、クライアントからメールアドレスも付与されることが多くありますが、これも全てクライアントにチェックされている前提で行動するべきです。もちろんWebの閲覧も同様です。
メールでは他のクライアントが絡むような資料や私用のやり取りするようなことは避けるべきです。Webは業務遂行に必要なサイトに限定しましょう。ニュースサイトや情報の流出が疑われるような共有ストレージサービスなどへのアクセスは避けましょう。当たり前で基本的な事ですが、残念ながら意外とできない人も多いもの事実です。
外部からの目線
以上は、クライアントからの目線での話になりますが、同時に外部からの目線についても気を付けることが必要になります。
外部からの目線とは、クライアントに常駐することでクライアントの社員として外部から見られるという事です。
朝は決まった時間にクライアント先のオフィスへ出社することになります。入館証も貸与されますし、外部の人から見ればクライアントの従業員と区別はつきません。
例えば、通勤時に歩きタバコ等で喫煙マナーが悪いと苦情が入る、昼食時に入館証を首にかけたままで外出し守秘義務を話してしまう自社でも十分に問題となる行動ですが、クライアントの従業員として見られれば、クライアント先に迷惑がかかることになります。
このようなことはコンサルタントとして絶対に避けなくてはならないことですので、注意が必要です。
バリュー(Value)を求められる
バリューとは
バリュー(value)とは、辞書で意味を調べると、「価値、有用性、値段相当の物」等の言葉が並んでいます。
従って「バリューを出して」等と上長に言われた場合、「値段相当の価値を発揮して欲しい」要するにクライアントが払うフィー分の働きをして下さい、プロジェクトに貢献して下さい、と言い意味になります。
コンサルタントは、自身が持つ知識・スキル(サービス)等を提供して報酬(フィー)を得ています。仕事はプロジェクト単位で行われることが多く、プロジェクトで求められる役割(ロール)は、明確になっています。サービスはアウトプットという形で表れてきますので、バックオフィス職などと比較すると、報酬とアウトプットは明確になりやすいです。
プロジェクトやフェーズ単位で成果を残す
プロジェクト期間は戦略系のプロジェクトは3カ月等と短いものが多くなります。また、ERPシステムを導入するような大規模で2年の予定のプロジェクトであったとしても、フェーズに分けて3カ月から6ヵ月程度のフェーズの区切りがあるため、役割は明確になり、求められるアウトプットも明確になります。
このため、プロジェクトまたはそのフェーズにおいて自分がどの程度貢献しているかは、比較的判断が容易になります。
プロジェクトに貢献していれば、当然評価は良くなり賞与額が多くなり、またエスカレーション(クラスアップ)に繋がります。逆に貢献が少なければ前述のように「バリューを出して」と要求されますし、パフォーマンスが低い状態が続けばクラスダウンとなります。
アサインされたプロジェクトで自分は何を期待されているのか、期待に応えるには何をするべきか、どのようなアウトプットをすればよいのか、これらをしっかりと意識て業務を遂行する必要があります。
自分のキャリアは自分で作る
専門家になる
前述の通りですが、コンサルタントとして、高いフィーを受け取るためには専門性が必要になります。
専門性とは、企業戦略やM&A、グローバル人事、国際税務、ERPの大規模プロジェクトのマネジメント等、コンサルタント毎で様々ですが、何れにしてもコンサルタントとして自分の強み、セールスポイントが必要になります。
一般企業の総合職では、一定期間で配置転換を行い様々な部門を経験させることでゼネラリストを育成することもあります(ある意味その会社のスペシャリストになります)が、コンサルティングファームでは、様々なプロジェクトに参画し経験を積むことで成長する(専門性を身に着ける)ことになります。
何の専門家になるか
コンサルタントとして長く活躍するためには、必ず自分の強み(専門性)があります。その専門分野は自分で意識して構築していく必要があります。
プロジェクトはマネージャになり自分で能動的に獲得するようなことがない限り、基本的には部門よりアサイン先が決定されることになります。
若いうち(経験が浅い場合)は様々なプロジェクトにアサインされ、自分の興味を持てるところを探すのも良いと思います。遅くても20代後半には得意とする分野、或いは興味がある分野を見つけ、その分野を中心としたアサインを希望する旨を会社(上長)に伝える方が良いと思います。
賢く器用な人間は、未経験の分野であっても、素早くキャッチアップしある程度のバリューを出すことができることが多いようです。このため、運が悪いと便利屋的な使い方をされ、気が付くと所謂「器用貧乏」になってしまう恐れがあります。
自分が興味を持てる分野や領域が見つかり、知識を深めたいと思うことが見つかったら早めに上長にその旨を伝えて、アサイン先がその分野や領域になるようにアピールすることが必要です。
場合によっては、その分野や領域が所属ずる部門から別の部門に異動する必要があるかもしれませんが、各コンサルティングファームとも部門間の異動については、一般の事業会社と比べれば比較にならない程本人の意向が加味されると思います。
また、アサイン先を希望したからと言って、必ずしも希望するプロジェクトにアサインされるわけではありませんが、アサイン時には本人の意向を極力加味しようとします。例えばその分野で同じ未経験者からアサインしなければならない場合であれば、やりたい事と一致しているコンサルタントをアサインすることは自然な事であると思います。
仮に希望するプロジェクトにアサインされた場合は、死に物狂いで努力して必ず結果を残す(バリューを出す)ようにします。会社に本気度が伝わりますし、次のアサインに繋がります。
転職も視野に入れてキャリアを構築する
何回も声を出して希望を伝えているにも関わらず、一向に希望するプロジェクトにアサインされないような場合は部門を異動するか思い切って転職することを視野にいれても良いと思います。
このように自分のキャリアは自分で考えて、それを実現するための行動を起こす必要があります。一般の事業会社の様に会社がキャリアを考えてくれて、ジョブローテーションをしてくれるということはまずありませんので、自分のキャリアは自分で考えて自分で作ることを自覚することが大切です。
まとめ
以上が、私が考えるコンサルタントとして仕事をするうえで気を付ける3点です。
1番目の「クライアント先に常駐」と2番目の「バリューを求められる」については、コンサルティングファームに在籍して時間が経ちその環境に慣れるにしたがって、あまり意識をしなくても自然と立ち振る舞えるようになると思います。
3番目のキャリアについては、自然にできるようなものではありません。また、一度プロジェクトにアサインされると、日常の業務の忙しさに追われてしまい、なかなかゆっくりと考える時間を確保することが難しくなります。
このため、キャリアについては、プロジェクトのアサイン・リリース時、または半期毎など、定期的にこれまでの自身の経験を立ち返り、今後の自分の進みたい方向(キャリア)についてゆっくりと考える時間を、意識的に設けた方が良いと思います。
また、転職エージェントを上手く利用し、例え転職する気がなくても情報交換するためにエージェントを利用しても良いと思います。思わぬ掘り出し物の求人に出会い、軽い気持ちでエントリし他にも拘らず気が付いたら内定をもらったということもあります。
既に転職エージェントを利用したことがある場合は、長期的に転職エージェントと関係を構築すると信頼関係も増して良いと思いますし、新たな転職エージェントに登録することで今までとは違う切り口でキャリアについてのアドバイスをもらえるかもしれません。
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