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面接官からの目線

コンサルティングファームの面接は、2回もしくは3回の場合が多く、2回であれば部門のマネージャ→部門の長(パトーナー(プリンシパル)やダイレクター)またはシニアマネージャとなる場合が一般的です。 3回の場合は、初めに人事部の面談が入り、その後の2回は、同様に部門のマネージャ→部門の長等といったケースが多く見受けられます。

私が面接官をしていたのは、部門のマネージャとして面接をしていましたので、ここでは、主にその視点からの面接の攻略について考えていきます。

まず、私が面接をするにあたって、面接官としての視点では、

  • コンサルタントとしての基礎能力はあるか
  • プロフェッショナルとしてのスキルや知見を有しているか

の2点を大きな軸として考えていました。

1点目の基礎能力については、コンサルタントとして業務を行う上で本人にコンサルタントとしての素養があるか。具体的には、コミュニケーション能力、論理的な思考、チームワーク、ストレス耐性等の観点になります。

2点目は、本人の経験、成果、スキルや知見になります。基礎能力を活かして、これまでのキャリアの中で、どのような業務を行い、そしてどのような成果を残してきたのか、という部分になります。

第2新卒や将来性を重視したポテンシャル採用では、1点目を重視しながら、面接を行っていました。逆に即戦力や高いクラスでの中途採用(マネージャ候補やシニアコンサル上位)においては、2点目にスポットを当てながら面接を行っていました。

尚、「中途採用で評価される経験 」と重複する部分もあります。これは、「評価したい = 面接で確認」という事になります。逆説的ですが、(例え経験的には、必ずしも評価しにくいキャリアであっても)面接でしっかりとアピールすることができれば、評価され、内定にも近づくという事になります。

 

コンサルタントとしての基礎能力はあるか

コミュニケーションスキル(能力)/理解力/論理力

コンサルタントとして業務を進めるためには、コミュニケーションをとる能力がとても大切になります。
クライアントとの打ち合わせでも、要件を引き出すためにはコミュニケーションをとる能力が必要になりますし、プロジェクトを推進するためにも同様に必須になります。

厳密にはコミュニケーション能力とコミュニケーションスキルは違います(能力は、相手(他者)と意思疎通をとる力であり、スキルは、理論に裏打ちされた方法、手法テクニックです)が、会社や求人においては、しばしば同義として用いられることが多いです。

面接の場でコミュニケーション能力をアピールする場合は、「私は、コミュニケーションスキルに自信があります」だけでは、逆に能力を疑われてしまいます(コミュニケーション能力とは意思疎通をとる力ですので、相手(面接官)に自分が能力があることを伝える必要があります)。

面接の場でコミュニケーション能力があるということは諸刃の剣になりかねませんので、注意しなければなりません。ERPのスキルは、システムを前にしなければ証明できない部分もあり、手八丁口八丁で面接を乗り切ることもできるかもしれませんが、コミュニケーションスキルは、現在進行で、正に面接の今で試されています。

実際のビジネスの場(求人の場)で求められるコミュニケーション能力を具体的に換言すると、折衝能力、交渉力、説得力、合意(コンセンサス)形成能力が中心になると思います。

したがって、面接の場では、具体的に困難な場面(利害が反する組織の説得、提案活動等)において、どのように交渉して、自分は何に苦労して条件を引き出し、相手を説得したのか、如何に合意しその結果どのような成果を残すことができたのか、を相手(面接官)に正確に伝える(できれば共感を得る)ことが肝要です。

また、理解力や論理力もコミュニケーションスキルを形成する一部の用要素である認識です。
相手が何を求めているのかを理解して、物事を漏れなく、ダブりなく、かつ順序立てて説明することです(論理的コミュニケーションとも言います)。

面接中に分からないことや言葉がある場合は、知ったかぶりをせずに素直に聞きましょう。
知ったかぶりをして、質問で明後日の方向の回答をしてしまうと理解力、コミュニケーション能力を疑われてしまいます。
今、パッと思いつく3文字の略語だけでも、ERP、SAP、CRM、SCM、PPM、MRP、BPR、SSC、BCP、ABC、DCF、CMS、EVA、KPI、KSF、PMI、PMO、RFI、RFP、SOX、CXO、As-Is、To-Be(最後は3文字ではないですね)と思いつきました。

別に面接管に質問してもマイナスにならないと思いますし、私は気にしていませんでした。 それよりも、こちらの質問の意図が理解できていない回答のほうが気になりマイナス評価にしていました。

 

チームワーク

プロジェクトはチームで進めるものです。

「コンサルは個人主義」と考えている方もいらっしゃいますが、1人で完結する仕事はまずありません。
コンサルティング業界は、他業界に比べてもチームワークが大切な業界です。

面接では、受け答えの中で独りよがりの答えがないか、相手の意見をきちんと聞くことができるか(この辺りはコミュニケーション能力ともリンクしてきます)。

また、プロジェクトやチームの成果を自分だけの力で獲得しているような節はないか(正しく自分を評価できているか)、チームのメンバを頼ることはできるのか、人を信頼することができるのか、メンバやクライアントに敬意を払うことができているか、などが要点になってきます。

メンバと協調して進めることができるのか、プロジェクト、チームに献身的な貢献ができるのか、です。 経歴等の成果の話を聞いて掘り下げている場面で、特に言葉の端々にチームワークを軽んじている方(と言うのは言い過ぎかもしれませんが)は、言葉の端々に我が出てくるような傾向がある印象を受けました。

 

意欲

コンサルタントの目的は、クライアントの抱える課題の解決です。ただ、もう少し言うと、(正確には契約にもよりますが)課題解決の助言・提言(お手伝い)をすることが、ミッションであり、解決するのはクライアント自らという立場が多くあります。
このお手伝いの姿勢が前面に出すぎてしまうと、クライアントから一線を引かれてしまい、クライアントから「コンサルは口だけ」とか「きれいな紙(報告書)を作るだけの仕事」等と揶揄されてしまいます。

クライアントから信頼を得られなければ、成功するプロジェクトも失敗してしまいます。

当事者意識を持ち、問題意識を共有してクライアントからの信頼され、共に課題を解決するためには、コンサルタントとして熱意を持つことが(そして相手に伝わること)必要になります。

また、コンサルタントはクライアントの職場に乗り込み仕事をすることが多いですが、基本的に帰る時間はクライアントのプロジェクトメンバより遅くなります。
フロアの最終退社者になることが多々あります。セキュリティが厳しければ、早めにクライアントのプロジェクトルームを出て、自社オフィスで仕事をします。

何処のプロジェクトに行っても、同じような状況が続くため、クライアントのために課題を解決したいという熱意、情熱が根底になければ、コンサルタントとしてなかなか長続きしませんし、成長の速度も変わってきます。

クライアントとの距離を縮め、一体感を持ってプロジェクトを推進していくためには、コンサルタントの熱意が必要です。

クールヘッド・ホットハートと言う言葉がありますが、正しくコンサルタントには、冷静と情熱を持ち合わせて、クライアントに相対する必要があります。

 

ストレス耐性

コンサルタントと言う職業は、肉体的にも精神的にもストレスが高い職業です。「コンサルタントはハードワーク」にも書いていますが、時間的な拘束は長い傾向がありますし、コンサルティングフィーが高いこともあり、クライアントからの要求レベルは高く、精神的にも追い込まれることがあることは事実です。

私が面接官をしていた時には、これまでの経験の中で、どの程度ストレスがかかる場面で仕事に従事したことがあるかを面接時には確認したこともあります。

これまでの社会人生活の中で、一番ストレスがかかった仕事、その時にどのように対応したか、等は回答できるように準備しておいても良いと思います。

 

プロフェッショナルとしてのスキルを有しているか

専門知識・経験・スキル

自分は何を売りにして、コンサルタントとしてクライアントからフィーを得るか、何であればバリューを発揮して、付加価値を出すことができるか、と言うことです。

それは、必ずしも、コンサルティング業界における経験である必要はありません。コンサルティングが未経験であったとしても、自動車業界や製薬業界等の業界の知識、または、人事業務や経理業務といった業務の知識でも良いです。
また、ERP等のパッケージソフトの知見のようにシステムに関連することでも良いです。

逆にあまり評価されないのは、所属する会社のみでしか通用しない知識です。
その会社(転職活動中の所属会社)固有の事象に根差した知識、ゼネラリストとしての広く浅い知識は、コンサルタントとしてプロジェクトに参加してクライアントと共に課題解決をする場面では、残念ながらあまり役に立ちません。
必要なのは、ある分野の深い知識です。「コンサルティングファームの規模の拡大」にも書いていますが、総合系コンサルティングファームは規模を拡大させ、ワンストップでクライアントの課題を解決するサービスを提供しよう(クライアントの囲い込み)としています。
課題解決のデパートという表現を使いましたが、コンサルティングファームでは、クライアントの様々な課題を解決するためのプロジェクトが常に並行して多数走っており、それぞれに対応するために、その分野のスペシャリストが必要になります。

このため、コンサルティングファームに所属する人間は、基本的にはある分野(業界、業務)のスペシャリストであることが多いです。

また、コンサルティングファームの求人の背景にもありますが、プロジェクトでの求人の場合は、メンバ補充の意味合いが強く、即戦力とてして活躍されることが期待されます。

転職エージェントより情報を入手して求人票の背景を確認します。プロジェクトである場合は、要件に自分の経験・スキルが要件に沿ったアピールをします。

 

 

プロジェクト(チーム)マネジメント

評価される経験にも書いていますが、コンサルタントの仕事は、通常プロジェクトで行います。このため、クライアントを含めてプロジェクトを強力に推進できるマネジメント力は高く評価されます。

面接の場面においても、年齢の高い方や職務経歴書でマネジメント経験が記載している方については、具体的にどのようなプロジェクトをマネジメントしていたのかについてお話しを伺うようにしていました。

私の経験上、残念ながら何の問題もなくすんなりと終わるプロジェクトは1つもありませんので、苦労した点から始まり、工夫した点、それによって改善した点、それでも上手くいかなかった事、次回に活かすための反省点(または、別のプロジェクトで反省を活かして成果を挙げたこと)を具体的に、丁寧に説明することが良いです。

面接官は、現場経験が豊富なマネージャクラスが面接を担当するケースが多いです。 より具体的な説明はその場面を想像させ、場面を想像させることで、同じような経験をしている面接官であれば、共感を得られることもあります。

この辺りはコミュニケーションスキルとも関連してきますが、共感を得るという事は、コミュニケーション上、重要なことです。共感を得るとともに面接官の経験談等も引き出し(こちらから質問等で促し)つつ、一体感を得ることができれば、面接の通過の確度が高めることができます。

これはプロジェクトマネジメントに限った話だけではなく、その業界や業務のスペシャリストとして、共通の話題でコミュニケーションをとり、一体感を持つことが、面接突破への近道ではないかと思います。

尚、プロジェクトマネジメントですが、必ずしもコンサルティングファームでのマネジメント経験に限らず、コンサルティング業界の未経験者であれば、社内プロジェクトやSIerでのシステム開発のプロジェクト等でも全く問題はありません。

 

また、年齢がまだ若い(30歳前後)場合で、プロジェクトのマネジメント経験がない場合でも、チームのリード経験でも良いです。そのあたりも、どのような事を行っていたのかについては、掘り下げて確認をしていました。

どのようなチーム運営を行っていたのか、苦労した点、ポイントとした点、工夫した点等をより具体的に話す、です。

より具体的に話すですが、イメージしにくい部分があるかもしれませんので、補足指定おきます。

例えば:前任のリーダから引き継いだ時点では、課題の消化率が悪かった(常に3割が残課題うち1割は期限超過が常態化)。このため、週1回の課題棚卸を週2回に増やし課題解決を推進、結果として2週間で1割に減少。並行して課題解決にリソースを取られることが予想されたため、プロジェクトマネージャにアラートとあげて増員を要請した。

という骨子は面接前に整理しておきます。掘り下げられたときに、この骨子に肉付けをして、(会話のキャッチボールの中で)丁寧に説明するようにします。 「当該チームで消化率が悪いのは、プロジェクト全体の課題となりつつある状況あり・・・」とか、「1割になり成果としは、全チームの中では常に少なくなった」、「この時は、増員を要請したが、××を工夫することで対応できたのかもしれない、この点は反省であり次回は××の判断までしっかり行いたい」という具合に肉付けしながら回答するようにします。

 

面接に臨むにあたって

前項のプロジェクト(チーム)マネジメントでも少し触れていますが、面接を攻略するには事前準備が大切です。
面接では、上手く話す必要はありません。多少噛んだとしても、どもったとしても、全く問題はありません。

事前準備とは、職務経歴書ベースで各プロジェクトにおける自分のロールや成果を整理して、自分で、何故? ナゼ? Why?を繰り返し質問をして、答えてみることです。 「なぜ、そうしたのか?」、「なぜ、そう考えたのか?」を繰り返します。

初めのうちは難しいかもしれませんが、コンサルティングファームでの面接を数回受けると何となく「Why?」が分かってきます。また、聞かれるポイントも大体同じようなところであると気が付くことになります。

面接の前に毎回繰り返すことで、想定問答の質、量とも向上していきます。

面接は難関です。中途採用で筆記試験を設けているところが比較的少ないため、中途採面接(と職務経歴書)だけで決まるといっても大袈裟ではないと思います。
それでも、1度や2度NGであっても、継続して応募すれば、必ず内定を獲得できると思います。
(面接官との相性によって結果が左右される可能性もありますので、あきらめずに(厳選した会社へ)応募することが大切です)

もし残念ながら、NGとなってしまった場合でも、何が原因でNGとなったのかを転職エージェント経由でフィードバックを必ず受けるようにします。

フィードバックから得た反省点を反映して、想定問答繰り返しブラッシュアップすることで、面接官からの質問に対してより実のある(濃い)回答が可能になり、結果として、内定の確度を高めることができます。

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