転職希望者と会話をしていると、「転職エージェントを活用したいけれど、評価が不利(デメリット)になりそう」という話を聞いたことがあるので、経験をもとに私なりの考えを。

結論から言えば、私自身は、現場で面談をして合否を出すうえで、エージェントを経由しているか、経由していないかで結果を変えたことはありませんし、人事や部門長などから変えるように言われたこともありません

私の知る範囲ですが、転職エージェントを使用することで、結果が不利になることはないと思います。

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転職エージェントのビジネスモデル

そもそも、なぜこのような話があるのか、まずはその背景について考えます。
まずは、転職エージェントのビジネスモデルについて確認します。

一般的に、転職者側は転職エージェントに登録すると無料でいろいろなサービスを利用し、メリットを享受することができます。
転職情報はもちろんのこと、転職アドバイス、面接や入社の日程の調整等、エージェントによっては、模擬面談や、転職後のフォローまで等至れり尽くせりのサービスを利用することができます。

もちろん、転職エージェントは慈善事業でこのようなサービスを提供してくれるのはありません。紹介を受ける企業側から報酬を得ることで、収益を上げています。

転職エージェントの収益は、基本的に企業に紹介した転職者が採用され、一定期間を在籍することにより報酬を得ることになります。

報酬は、一般的に転職者の年収の3割や月収6か月分と言ったように決められているようです。
転職エージェントは、転職者が採用なれなければ報酬を得ることもできないため、前記のようなアドバイス等いろいろな協力をしてくれるという訳です。

先ほど、転職後のフォローまで、至れり尽くせりと書きましたが、転職エージェントとしては、折角転職が確定したにも関わらず、一定の期間を在籍せずに直ぐに辞められてしまっては、報酬を受けられないという事になりますので、よく考えれば転職後フォローは理にかなったサービスと言うことになります。

転職者が報酬を受け取る前に辞めてしまっても、また別の会社を紹介することで、カバーすることも可能になるからです。

別の観点から考えると、転職エージェントの提案は、転職者のやりがいや、希望に関わらず、高い給料にところばかりに進めた方が報酬としては高くなるため、転職者のメリットを考えない提案が行われる(モラルハザードが発生)ことの心配があります。

年収や月収は確かに大切な要因ですが、それ以外にもやりがい、将来性等様々な観点から転職先を決定します。提案は選択肢の一つと考えて最終的には自分自身で判断することが必要になりますが、キャリアアドバイザーが求人への応募を頑なに勧められることは、まずないと思います。

転職者の満足度を高め、再転職の際に利用してもらったほうが、よっぽど利益につながります。このため、あまりモラルハザードについては心配する必要はありません。転職者と転職エージェントがWin‐Winの関係を築くことができます。

もしも、転職者の希望などを考慮せずに給与面からだけで提案をしてくるようなエージェントやキャリアアドバイザーがいたとしても、淘汰されているのではないかと思います。。
これは、転職という本人にとっての一大イベントにおいて、もし自分がそう感じたならば、当然違うエージェントかキャリアアドバイザーを選択するからです。
エージェントは収益機会を逃すことになり、結果として淘汰されていきます。したがって転職エージェントの求人の提案は、”ある程度”良質な提案を期待できると思います。

ただし、ここであえて”ある程度”と書いたのは、モラルハザードが起こりうる構造が、転職エージェントのビジネスモデルであることは、事実としてありますし、淘汰の過程で自分の転職活動と出会ってしまう可能性もあります。
完全に排除できるものでもないため、転職エージェントは一旦複数登録してその提案の質を比較、見極めた方が良いと個人的には思います。
もちろん、初めて登録した転職エージェントと面談をした結果、こちらの考えていることを斟酌(胸中を察し)して、こちらの1つの発言から10の事を考えてくれるような有能かつ自分とセンスが合うエージェントに出会えれば、越したことはありませんし、わざわざ複数に登録する必要はないと思います。

コンサルティングの人材に対する拘りと採用活動

モラルハザードの部分は若干横にそれてしまいましたが、ここから本題であるコンサルティングファームへ転職する際に、転職エージェントを活用(経由)して費用が発生することで、評価で不利にならないことについて、考えていきたいと思います。

コンサルティングファームは人材(コンサルタント)こそが全て、と言っても過言ではありません。
このため、コンサルティングファームは、採用に時間とお金をかけて、人材を厳選して採用を行っています。

もちろん、低いコストで優秀な人材を獲得できれば申し分ないのですが、コスト削減には限界があります。しかしながら、コスト削減して採用する人材の質を落とした結果、クライアントに提供するコンサルティングサービスのクオリティが低下しては、本末転倒であり、大袈裟に言えば、コンサルティングファームの存続の危機に陥ってしまいます。

したがって、コンサルティングファームは、優秀な人材の獲得のために、他の業界以上に力を入れおりそのためには転職エージェントの費用(採用に係る費用)は惜しまないと思います。

このため、コンサルティングファームは、人材の採用のための予算について、余裕をもって計上している傾向があると思います。予算は転職エージェントを活用することを考慮して作成されていることが考えられ、エージェントからの転職が不利になることはないと思います。

ただ、仮に採用者が1人の場合で全く同じ条件・経験等の求職者の応募があった場合は、転職エージェントを通さない(費用を抑える)という選択があるのかもしれません。しかし、そもそも全く同じ条件・経験等の全く同じ条件の求職者は存在しませんし、天秤に掛けられることを恐れるよりも、転職エージェントを活用してコンサルティングファームからの求人の背景や要件のアドバイスを受けて、より自分自身をアピールしライバルに差をつけたほうが、内定獲得の確度は格段に上がると思います。

実際の面談の現場

私自身、コンサルティングマネージャとして、多くの中途採用面接を行いました(他のマネージャに比べてもかなり多いほうでした)。
実際に私が面接した人物は、殆どがエージェント経由の応募の方でした(以外は知人の紹介等)。

転職エージェントによっては、人物像のフォローや推薦状なども付けてきていて、それらにも目を通してから面接に臨んでいました。

前記のように、転職エージェントも採用させるために必死なので、それなりに割引いて考えていることが多かったですが、それでも、採用を考えるに当たって情報は多いほうが良いですし、これらの推薦状なども参考にしていました。

そして、冒頭も書いていますが、転職エージェント経由と経由していない場合で、面談の評価に差をつけたことはありません。差をつけるような(転職エージェント経由で不利にする)内部規定も存在していませんでした。

このように実際の現場でも、転職エージェントが不利になることはありませんでした。

最後に

実際に入社してきた人と話しても、やはりどこかのエージェント経由が多かったです。
特に業界未経験者や、年齢が若い方は、エージェントの利用を聞いたほぼ全ての方が、どこかしらのエージェントを利用していたと思います。

転職エージェントを利用することのメリットについては、別に詳しく書いていますが、非常に大きく逆言うと使用しないことは、ライバルに大きな後れを取ることになります。

エージェント経由で不利(デメリット)になることは、まずない認識ですので、利用について躊躇されている方は、是非活用を検討することをお勧めします
いったん登録して、話をするだけでも参考になることが多いです。

 

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