コンサルタント = 年俸制 と言うイメージがあるかも知れません。実際、年俸制で支払っているファームはあります。
しかしながら、コンサルタントもサラリーマンであり、当然ながらが労働基準法に従って給与が支払われます。この年俸制とは何なのでしょうか。
そして、実際に残業代や時間外給与は全く支給されていないのでしょうか?
この辺りは転職する上で知っておくべきこと・気になることだと思います(特に異業種からの未経験者の方)ので、私の知る範囲ですが、書きたいと思います。

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残業代は、プロジェクト次第か

はじめに、お金が絡む、非常にセンシティブな部分となりますので、あくまで私の知る範囲、私見という前提で読んでいただけると、幸いです。

また、各ファームの特性もあります。加えてコンサルタントの働き方は、プロジェクト単位で行いますが、勤怠の承認についても同様にプロジェクト単位になります。具体的には、個々のプロジェクトを管理するマネージャになります。

何処のファームにおいても、本人が時間外を申請する→勤怠管理者が承認する→残業代が支払われる、という流れが基本になります。
残業代の発生というのは、多くの場合、プロジェクトの費用に当たります。
プロジェクトの費用はプロジェクトの収支に影響(悪化)にしますので、残念ながら、この勤怠管理者(マネージャ)が、プロジェクト収支を優先させ、残業の支払いとなる勤怠申請を承認をしないようなプロジェクトがあることも事実のようです。
この辺りについても、書いていきたいと思います。

労働基準法と残業代

残業代の支給の有無は年収ベースでは大きな差になります。特にコンサルタントは、労働時間が長いことから、残業代があるのとないのでは、年収では100万や200万の差になってくると思います。

時間外労働にともなう残業代の支給は、労働基準法に定められており、残業代の支給を考える上では切っても切り離すことはできません(残業代の支給婚根拠は労働基準法です)。

コンサルタントがプロフェッショナル職といっても、当然会社に雇用される身分ですですから、労働者であり、労働基準法および労働基準監督署の管轄対象となります(ここでは管理監督者云々は割愛します)。

特に近年はメンタルヘルス、ワークライフバランスなどの社会の要請もあり、労働基準監督署の指導(適正な労働時間の管理等)も厳しくなっている社会背景があります。
このような時代の変遷とともに、コンサルティングファームの残業代の支払いの考え方についても変わってきていると思います。

現在では、総合系・IT系のコンサルティングファームは、規模の拡大が進んでおり、大規模なコンサルティングファームでは、労働基準法を強く意識して組織運営を行わらず得ない状況だと思います。

このため、年俸制を採用して「高い給与を与えて残業代を払わない」(高給に残業代を含めているという主張)のどんぶり勘定の時代は終わりつつあり、労働基準法に基づき裁量労働制を導入したり、裁量労働制等を検討したが、導入せずに通常の残業計算を行っているなど、各ファームともに、手探りでコンサルタント職にフィットした残業代の支払いを手探りで模索している状況だと思います。

国会では、ホワイトカラーエグゼンプションも検討されている状況です。
仮にホワイトカラーエグゼンプションが施行されれば、各コンサルティングファームは、喜んで導入を検討すると思いますが、それまでは、手探りを続ける状況が続くのかもしれません。

どんぶり勘定の時代

労働基準法の意識とありますが、コンサルティング業界はもともと、細かく勤怠管理を行い、それに応じて残業代を計算して、支払いを行うというよりも、予め残業を見越して高給を払うという、良くも悪くもどんぶり勘定的な文化があったと思います。高給の年俸制なども近いものがあるかも知れません。
雇用される従業員も、残業が出ないことを了解して、残業代を含んだ月給が支払われている、そんな暗黙の了解のもと雇用関係が成り立っていたと思います。

高給の職人と言う感じでしょうか。

しかしながら、インターネットの情報量の爆発的増加、労働者の権利意識の増大、コンサルティングファームの組織の拡大などにより、徐々に時代にフィットしない状況になってきている感は否めません。

裁量労働制の導入

しかし近年は、労働基準法の順法精神の高まりや、他の業界と同様に労使問題として、未払い残業が問題となってきます。
未払いの背景としては、前記していますが、コンサルティングファームの組織の規模の拡大による暗黙の了解のコンセンサスの低下、インターネットによる情報共有、権利意識の高まりによる労働基準監督署への通報等が存在していると思います。

コンサルティングファームの規模拡大と言う点では、労働基準監督署も大きな規模の事業所に対しては、小さい事業所に比べれば、注視することも多くなります。
従業員数も千人は優に超え、数千名のコンサルタントをそろえるコンサルティングファームも珍しくはありません。
労働基準監督署もそこまで大きな組織が、未払いをしてる状況は見過ごすわけにはいかないと思います。

 コンサルティングファームも、問題に対応するべく、裁量労働制を導入するコンサルティングファームもありました(現在も導入中のファームもあると思います)。

まず、裁量労働制とは何になりますが、Wikipediaによると、

日本における裁量労働制は労働基準法の定めるみなし労働時間制の1つとして位置づけられており、この制度が適用された場合、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる。業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できるとされる。適用業務の範囲は厚生労働省が定めた業務に限定されており、「専門業務型」と「企画業務型」とがある。導入に際しては、労使双方の合意(専門業務型では労使協定の締結、企画業務型では労使委員会の決議)と事業場所轄の労働基準監督署長へ[2]の届け出とが必要である[1][3]

となります。

ただし、裁量労働制を導入したとしても、以下のような問題があります。

  • プロジェクトメンバに裁量労働制の「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用」に該当しているのか
  • みなし労働時間と実労働時間の乖離、実労働時間 > みなし労働時間となるケースが散見される
  • 裁量労働制を導入しても、勤怠管理をしなくても良いといことはなく、勤怠管理することは必須である(深夜残業などの支給は必要)

特に一番目の裁量労働制の適用職種については、未払い残業を防ぐため、労働基準監督署も厳格な要件を設けて、運用を行っているようで、実態を伴わない職種で適用している場合は、厳しく指導を行っているようです。

裁量労働制では、その対象の業務として、「情報処理システムの分析又は設計の業務」や「いわゆるシステムコンサルタントの業務」を対象としていますが、各ファームともに組織が巨大化し、複雑なサービスラインをそろえる状況では、例えIT系のコンサルティングファームであっても、属するコンサルタント全てを一括りにして、裁量労働制に認定される対象業務に定義するのは、個人的には難しいような気がします。実際コンサルタントを名乗るプログラマーもいるような状況ですから。
(私の個人的な意見などは全く参考にならないと思いますが…)

脱裁量労働制(時間外に応じた支給)

裁量労働制は上記のように、運用に問題を抱えている面があります。
コンサルティングファームでは、裁量労働制を廃止、または導入せずに、正しく厳密な勤怠管理を行い、36協定を順守し、勤務時間に基づいた残業代を支払うファームも出てきているようです。
(本来の姿と言えば、本来の姿なのですが)

ポイントは、厳密な勤怠管理となります。きちんと勤怠管理を行い、勤怠に応じた残業代を支払うということになります。また、36協定の遵守です。36協定が形骸化し、軽視されていた時代もあったのかもしれませんが、近年は労働基準監督署も重要視し、指導を行っていることもあるようで、各ファームともに36協定の遵守が勤怠面からみた組織運営のポイントとなるようです。

高給で高給取りのコンサルタントの給与も、一般化したと嘆く先輩コンサルタントの方もいるかもしれませんし、時間だけかけてもアウトプットが伴わなければ、給与もいらないでしょう、等厳しい意見もあるかと思います。

ただ、個人的には、時間外労働に見合った残業代を支払いつつ、効率的な仕事やプロジェクトに貢献できる人間には、プロモーションや評価(賞与での支払い)等のインセンティブ(飴)を与える、逆に効率的な仕事ができない人間は、降格や配置転換をしたほう(鞭)が、運用面を考えると良いと思います。

コンサルティングファームも労働基準法を守り、未払い残業代等で訴えられることもなくなりますし、従業員にとっても、公平で高い納得感が得られやすいのではないでしょうか。
当然、飴と鞭を公平に与えることが前提になりますが、コンサルタント職は他の業種に比べ、アウトプットと言う形で評価しやすいため、適していると思っています。

ランクに応じた支給の実態

マネージャ以上か(管理監督者に該当するか)

労働基準法上の管理監督者となるマネージャ以上とシニアコンサルタント以下に分け、考えていきたいと思います(残業代の支給婚根拠は労働基準法にあり、切っても切り離せない関係にあります)。

【マネージャ以上】

どこもファームでも、マネージャ以上では、残業代はないと考えて間違いないです。

マネージャの取り扱いは、どこのファームであっても、労働基準法上は管理監督者になるため、残業代は支給対象外です。
ただし、細かいことを言うと、法律上では、管理監督者であっても、深夜分は支給対象となるのですが・・・私自身、深夜分をもらったことはありませんでした。
正確には、会社が支給しないのではなく、自分が申請をしたことがありませんでした

マネージャは、通常収支の管理を含めてプロジェクトをマネジメントしています。
作業時間をそのままつけてしまう(チャージする)と、プロジェクトの利益率が下がってしまい、自分がチャージしたことにより、場合によっては、自分が申請したことにより、当初計画していた利益率を下回ってしまうことがあります。
当初計画した利益率は、自分で提案時に自分で作成したプランである場合が多く、結果として自分のプランに対して、未達となってしまいます。
これはファームにもよりますが、期の評価や賞与に響く(低くなる)ため、深夜残業で微々たる支給を受けるよりも、評価や賞与を選んでいる人間が多く残業の申請はしていない、と思っています。

まさしくニンジンを目の前にぶら下げられて走る馬のようです。

ただし、予算に余裕のあるマネージャなどは、普通に申請をしている方もいました。深夜残業分が出ていたのか分からないです。

【シニアコンサルタント以下】

気になるのは、管理監督者とならないシニアコンサルタント以下のクラスの残業代ですが、支給されるところと、残念ながら支給されないところで分かれているようです。
ポイントしては、2点あります。「適正に労働時間を申請・管理しているか」「裁量労働制を導入しているか」の2点になります。

  • 適正に労働時間を管理しているか

前記のマネージャで記載しましたが、「コンサルタントのチャージ = 費用発生」 となる収支管理をしているファームが多いです。
「費用発生 = プロジェクト収支悪化」 となり、結果どのようなことが起こるかというと、残業申請を承認者(マネージャ)が承認しない、というようなことが発生してしまいます。

マネージャにとっては、「プロジェクト収支の悪化 → 自分の賞与の減少」となる可能性があるためです。
どう考えても残業をしなければ対応できない作業量を割り当てているにもかかわらず、努力が足りない、とか、作業効率が悪いとか、君はシニアコンサルタントの仕事をしていない、等、理由はなんでも良いですが、残業時間を申請させない、承認しないマネージャ(プロジェクト)が、まだまだ残っているのが現実のようです(これはパワハラでブラック企業ならぬブラックプロジェクトです)。

当然、ファームが公認で行っていることはないようですが、このようなプロジェクトにアサインされると、残業代が支給されないということも発生しているようです。

(補足:あくまで、プロジェクト単位で、聞いた話のレベルです)

正しく、勤怠を申請し承認されていれば、裁量労働制を導入していなければ、会社からは、残業代が支給されると思って良いと思います。 (会社は勤怠が承認されているにも関わらず、支給を行わないのは、労働基準法に違反しており、労働基準監督署の査察が入った場合に、指導対象となるため、コンプライアンスの面から通常は支給されると思います)

  • 裁量労働制を導入

裁量労働制については、前述の通りとなりますが、
簡単に言うと、裁量労働制として労使双方で合意した場合は、一定の時間(みなし時間)については、労働者の裁量に任せるというもので、みなし時間分までは、残業代の支給も不要というものです。

裁量労働制を導入していれば、労使で合意した1日当たりの「みなし労働時間」内の残業代の支給が不要になります(ただし、みなし労働時間内であっても、休日は深夜の割り増し賃金の支給は必要になりますが、ここでは割愛します)。
つまり、裁量労働制を導入していなければ、所定労働時間以降の時間については、労働基準法上、残業時間の対象となります。これに対して、裁量労働制を導入している企業では、みなし時間を超えた部分からやっと残業代の支給対象となることになります。

また、裁量労働制を導入していても、みなし時間以上のチャージについては、前記にように承認をしない、せこいマネージャも存在するようです。

まとめ

マネージャの場合は自業自得であり、自分で選んでいるのでまだよいですが、悪質なのはシニアコンサルタント以下で記載している勤怠を承認しないマネージャの場合です。
この根幹は、
「チャージ → プロジェクト収益悪化 → 勤怠承認者(マネージャ)の賞与等の減少」の図式があるのが原因だと思います。
優秀なマネージャは、会社・部門に掛け合ってチャージされてもプロジェクト収支が悪化しないようなチャージ先も準備をしたりもしますが、それも会社・部門に依存してしまうので、上記の図式から脱却しなければ根本的な解決にはならないと思います。

マネージャもプロジェクトの提案時には、当然、ある程度の残業時間を見越して計画をし、さらにリスクを乗せています。
ファームによっては、残業やリスクの係数を定めているところも多いです。
それでも、近年のプロジェクトの複雑化、巨大化、難易度の高まり等により、当初見込みを超えてしまい、プロジェクト収益の悪化を招くケースが多いように見受けられます。

結果として削りやすい、チャージ部分に跳ねてしまっている現実があるのではないかと思います。

ただ、この図式はコンプライアンスの観点からもファーム側も認識しており、最近は内部でもチェックが厳しく、前述のブラックプロジェクトは減少していると思います。

私自身の経験を基にした残業代・時間外の支払いでした。
特に未経験者の方で、コンサルティングファームへ転職を考えている方がいらっしゃれば、転職エージェントに登録してキャリアアドバイザーに確認するのも良いと思います。

上記はあくまでも私自身の体験した範囲・身近な部分に限定されることもあると思います。
以下はお勧めの転職エージェントになります。
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ホワイトカラーエグゼンプション(余談)

ちなみにここからは余談になります。

最近は、ホワイトカラーエグゼンプションという言葉を良く聞くようになってきました。簡単に言うとホワイトカラーの労働時間規制を免除させ、また、残業代の支払いを免除することができる制度です。

ホワイトカラーエグゼンプション(またはホワイトカラーイグゼンプション: white collar exemption、ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度)とは、いわゆるホワイトカラー労働者(主に事務に従事する人々を指す職種・労働層)に対する労働法上の規制を緩和・適用免除すること、またはその制度である。

各国の労働法制において、労働時間の規制がなされていることを前提としてその規制の適用を免除し、または例外を認めることで、労働時間の規制を緩和することをいう。狭義には労働時間そのものに関する規制についての緩和を指すものであるが、労働時間規制に付随する規制として、労働時間に応じた賃金の支払いの強制や、一定の時間を超えた超過時間についての割増賃金の適用義務化などが設定されていることから、広義にはこれらの適用の免除についても本制度の範疇として理解される。

 

裁量労働制は、(みなし時間等)時間ベースで考え、また深夜・休日の割り増しはする必要があります。これに対してホワイトカラーエグゼンプションは、「残業はゼロ」を想定しており、また、年収ベースも対象選定の条件として考えており、似てはいますが違います。

私の感想では、各コンサルティングファームともに、残業代の支払い方法について、模索状態ですので、ホワイトカラーエグゼンプションが施行されれば、喜んで導入すると思います。
(導入をしなくても、検討は絶対にすると思います)

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