コンサルタントにとって資格は不要か?

弁護士や公認会計士等の士業のように国に認められた独占業務とは異なり、コンサルタントを名乗るために資格や免許は、必要ではありません
今日、会社が嫌になって会社を辞めた営業職の方が、明日からは営業コンサルタント名乗っても、何の罪にも問題にもなりません。もちろん、仕事が受注できるか、食べていけるかは別ですが。

コンサルタントには、資格も免許も不要で、参入障壁は極めて低いです。コンサルティングファームおよび、そこに属するコンサルタントにとって資格は不要なのでしょうか? 転職に有利になるような資格はないのでしょうか?

今回は、この辺について、主に国家資格を中心にして、一部のベンダ資格(SAP等)を考えていきたいとと思います。

なお、特化系や業務系は、それぞれのターゲット分野に依存していますし(場合によっては有効な場合もある)、戦略系コンサルタントは、MBA(資格とは少し違うかもしれませんが)が有力かと思います。
ここでも以下は、総合系・IT系のコンサルティングファームを中心に記載します。

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【経営系の資格とコンサルタント】

まず、コンサルタントの資格といって真っ先に浮かぶものは、中小企業診断士でしょうか。
中小企業診断士は国が認める唯一のコンサルタント資格です。
ただし、私の周りのコンサルタントは、在職中に新規で取得している人間(および勉強をしている人間)はいませんでした。

中途採用者で転職前に何となく取得したという人間は数名いましたが。

私自身も、幅が広く万遍なく経営に関する知識を学習できるのは良いと思い、転職前に勉強しようと思った時期もありましたが、実務が必要なこともネックとなり、断念しました。

その名の通り、中小企業向けで全般的な知識の証明とりますので、しっかりとした実務を併せ持っていれば、一定のアピールになるのではないでしょうか。

ただし、あくまでも資格を持っているから加点されるようなことはなく、求人の内容と職務経歴とのマッチングがまずありきで、資格は付加的な要素になります。

また、総合系でも戦略を行いたい場合は、MBAが有効かもしれませんが、あまり詳しくないため、記載は差し控えたいと思います。すみません。

【会計系の資格とコンサルタント】

続いて、会計系の資格です。

会社の活動は、最終的にお金の流れに表され、BS(貸借対照表)、PL(損益計算書)等の財務諸表に現れてきます。
このため、企業の基幹系システムも然りで、人事システムの人件費も、購買システムの発注費用も、何であれ、最終的にはお金の流れは、財務・会計システムに情報が集約されてきます。
また、コンサルティングを行う上では、お金の状況を把握することは非常に重要になります。

このような背景から、総合系・IT系のコンサルティングファームでは、比較的、会計系の知識を重要視しています(総合系ファームの出身母体は会計分野であるため、現在も会計が中心と言うファームもあります)。

例えば、あるコンサルティングファームでは、新卒採用内定者に対して、入社までに簿記2級を取得するように課題を与えたりしています。

さらに上位の資格とされる、公認会計士や税理士への合格者に対しては、一時金が支給されたりもします。
また、これらの国家資格取得者は、自ら独立開業、監査法人に就職、一般の事業会社でも重宝されますので、いろいろな選択肢があります。

コンサルティングファームとしても、公認会計士試験に合格する、または、資格を保有するような優秀な人材を確保したいため、このような資格保有者を転職者として中途採用する場合は、転職者にとって有利な条件を引き出すための、条件の交渉材料としても使えるのではないでしょうか。

入社後も名刺に資格名を名刺にいれれば、クライアントにアピールできますし、自分の専門性の高さを証明できます。ブラント力もありますので、受けも良いです。

ただし、効果(メリット)は大きいものの、いかんせんこれらの資格は難易度が高すぎるのがネック(デメリット)になります。大学生が、学生生活の全てを捨てて全力で勉強しても、合格がなかなか難しい試験ですから、働きながらでは、並大抵の覚悟と努力では合格は難しいのが現状です。

私の後輩も公認会計士を目指して、離職し勉強に専念していますが、まだ合格はできていません。

 

国内の資格だけでなく、US CPA(アメリカの公認会計士資格)も、評価の対象となることも多いようです。
US CPAは、会計はもちろん、政務、経済、さらに内部統制等、幅広い領域に対して知識を問われるため、これらに対する知識の証明になります。また、試験は英語で行われるため、合格者は、会計領域の専門用語を含めた英語のスキルも証明できます。

以前は、日本で試験の受験はできず、わざわざ試験のために渡米する必要があり(私の同僚もわざわざ、試験のためだけに渡航し、とんぼ返りしていました)、この点は、ハードルが高かったのですが、私の知らぬ間に日本でも受験が可能になったようです。

しかも、US CPAは、科目合格が可能です(期間により失効あり)。更に年に6回も試験を行っており、各科目とも合格率の50%前後です。
このため、難易度は、日本の公認会計士に比べればかなり低く(日本が難しいだけなのですが)、働きながらでも十分に合格可能です。
時間対効果が非常に優れていて、個人的にはお勧めの資格だと思っています。

TPPで資格の相互の入れが実現し、日本の公認会計士と同等になれば、言うことなしですが、実現は現実的ではない(日本で監査業務や税理士登録は実現しそうもない)ですね。
というか、もし実現したら、日本と難易度違いすぎて、日本の公認会計士試験制度が崩壊してしまいそうです。

話が少しそれてしまいましたが、公認会計や税理士はアピールができコンサルティングファームへの転職時、転職後も役に立ちます。が、難易度は相当高く簡単には合格はできません。その点、US CPAが狙い目で、実際コンサルティングファームに在籍している同僚も受験をしている人がいました。

【人事系資格とコンサルタント】

人事系では、社会保険労務士の国家資格があります。
ただし、人事系と言っても、試験範囲は、社会保険や労務関連に限られているため、残念ながら、コンサルティングファームではあまり評価の対象とならない場合が多いと思います。

近年の人事系のコンサルティングのキーワードとして、グローバル人事、タレントマネジメント、等がありますが、これらの領域と重なる部分があまりないため、コンサルティングの現場では、生かせる場が少ないのが現状です。

ただし、人事系のシステムのデリバリ(システム構築)のプロジェクトでは、SSC(シェアードサービスセンター)の設立や、給与計算システムの導入があり、これらの現場では、社会保険労務士の知識が重宝されることが多いようです。

その他、民間資格では、キャリアカウンセラー、メンタルヘルスマネジメント検定等がありますが、そのに特化しているようなファームでない限り、あまり評価されることはあまりないと思います。私は、周囲で取得している人を見たことがありません。

【システム系(国家)資格とコンサルタント】

ITストラテジストシステム監査技術者プロジェクトマネージャなどですが、IT系のコンサルティングファームでは評価されることがあります。

ベンダー資格のように、ある部分や領域に特化している訳ではないため、何となく存在が地味な感じがします(保有者の方・受験生の方、すみません)が、他の国家資格のように出題範囲は広く、その分、学習範囲は広く難易度は相当高いです。

評価される背景としては、学習ことで得られる知識、それを業務に活かせることは当然ですが、その他にも、案件の入札の条件になる、ということを補足しておきます。

何度も書いてきていますが、 総合系やIT系のコンサルティングファームは、組織の巨大化に伴い幅の広いサービスライナップをそろえています。
その中に公共機関を扱う部門があります(間違えなく大手の総合系はあります)。 具体的には、政府や独立行政法人、特殊法人、地方公共団体等をターゲットクライアントにした部門です。
これらの機関からシステム関連の構想策定やシステムの構築、保守等を入札する際の条件として、「システム監査技術者またはプロジェクトマネージャの資格を有する者が、プロジェクトをマネジメントすること」、といったように指定されることがあります。

私の周りでも取得している人間がいましたし、そのお蔭で条件を満たすことができ、実際に資格名と名前を記入して、何度も入札しました(受注もできました!)。
公共系はスケールが大きなプロジェクトが立ち上がることもあり、コンサルティングファームとしては、これらの資格保有者を抱えておくメリットがあります。

このため、公共系に力を入れているコンサルタントファームからは、転職の際に評価され、入社後は重宝される可能性があると思います。

転職時にアピール材料となるのは、ITストラテジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャくらいのでしょうか。ただし何れも公認会計士程ではないものの、難易度は相当高く、仕事をしながらの合格は覚悟と努力が必要だと思います。

 

余談ですが、私が新卒でSIerに入社したときは、1年目に情報処理2種を取得することを目標にしたような記憶がします。思い出の資格ですが、いつのまにか、基本情報技術者試験に名前も変わっていて、難易度も上がったようですね。

【システム系(民間)資格とコンサルタント】

○SAP等のERPベンダの資格

民間の資格は、多種多様ですが、一部のベンダー系の資格は、総合系・IT系でシステムデリバリを行っている場合は、SAPがなじみが深いものがあります。

総合系・IT系のコンサルティングファームとERPパッケージの関係は記載していますが、ERPのプロジェクトに携わるなら資格があると良いです。損はありません。

特にERPのシェアが高いSAPの資格は、関連するプロジェクトにつかせるような場合は、パッケージの勉強と合わせて、各ファームとも取得させることも多く、事実ファーム内にも多くの資格保有者がいます。http://a248.g.akamai.net/n/248/420835/db86b2e1248c1dc4b8a671c911bd725483c089e1402b71c3b9da2c0574165512/sapasset.download.akamai.com/420835/sapcom/docs/2015/12/5ced7eda-537c-0010-82c7-eda71af511fa.pdf

SAP以外では、Oracleなども有名です。

これらのファームは既に多くの資格取得者を抱えていますので、転職時に条件の交渉などには全く使えません。アピールはできないですが、一定のスキルレベルは証明これまでのキャリアの補強できるため、役には立ちます。転職エージェントを使用する際は、きちんと伝えるようにしましょう。

○PMP

このほか、PMI 本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格であるPMPも評価の対象となることがあります。PMP試験は、プロジェクトをマネジメントするために必要な知識を、体系的にまとめたPMBOK(Project Management Body of Knowledge)をガイドにして行われます。 PMPは、国家資格のシステム監査技術者と同様に、公共系で入札条件に指定されることもあります。難易度は、ITストラテジスト、システム監査技術者ほどではありませんが、簡単に取れるような資格でもありません

【英語とコンサルタント】

おまけです。資格と言う訳ではないかもしれませんが、やはりTOEICです。

一概に何点以上だと評価されるという事を言うことは難しいです。できて当然という空気は漂っています。詳細についてはコンサルタントと英語に書いてみました。

転職エージェントに登録するときはTOEICの点数を期待されることが多いです。

【まとめ・資格を転職の面から考える】

いかがでしょうか。転職のタイミングの評価、および、その後の活用について書いてみました。 何れも私の個人的な考えですが、実際にファームに身を置き感じた感想です。
また、忙しいせいか、コンサルティングファームに在籍しながら、難関と言われるような国家資格を取得する人間は、いるにはいるものの、多数はいませんでした。

難関国家資格は、公認会計士をはじめ、難易度の高い資格ばかりで、合格までに時間がかかりすぎます。
このため、コンサルティング職に就くためだけに資格を取るのであれば、時間対効果が合わないものが多いです(ただし、転職のためではなく専門性を高めるために勉強するならばありだと思います)。
個人的には、会計を専門に据えるならば、時間帯効果の優れているUS CPAお勧めします。

もし、将来はコンサルティング職に転職したいと考えるならば、資格取得の勉強に時間を費やすのではなく、今の仕事・今の業務に力をいれることが第一(近道)だと思います。その現場やその業務における(自分の専門となる)知識の深さと関連する知識の領域を少しでも広げ、そこでNo.1を目指すことです(ここまで文を書いておきながら申し訳ないのですが)。

コンサルティングファームの特徴に書いたように総合系・IT系コンサルティングファームは巨大化しています。
様々な課題にワンストップで対応するため、多様なサービスの展開をして差別化を図っている現状があります。多様なサービスの提供のためには、それぞれの業務などの専門分野の知見が必要になるため、このような人材を、転職マーケットより調達しようとします。
このため、資格勉強に時間を費やすよりも、今の現場、その業務で専門性を磨く方が、コンサルティング職に近づけると思っています。

それでももし、今の職場で力いっぱい仕事に集中し、成果を残すことができ、更に余力があれば、勉強してみるのも良いと思います。
各資格とも一見すると教科書的ですが、範囲は広く、その領域を網羅的・体系的に学べ、仕事では接点のなかった周辺の知識についても学習する良い機会になると思います。

転職前に勉強を始めることで、面接中に、勉強していることを話してみるのも、少しは、アピールになるかもしれません(税理士の科目合格のような場合を除き、知識ではなく、やる気の面のアピールになると思いますが)。

コンサルタントの転職に有利になる資格はあるものの、何れも難易度は高く、総合系やIT系のコンサルティングファームに転職するために資格勉強をすることは正解ではないと思います。
資格を考えるよりも、まずは転職エージェントに登録し自分の専門性やアピールできる経験などをキャリアアドバイザーに確認してみたほうが良いです。
転職エージェントをお探しの場合は以下のページをご参考に。

お勧めの転職エージェント | 未経験者でも総合系・IT系コンサルティングファームへ転職

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