コンサルティングファームにおいて、マネージャ以上のクラスとそれよりも下のランクでは、業務の内容・責任が異なってきます。一般の事業会社でいえばコンサルティングファームのマネージャは、課長に該当すると考えていただければ間違いはないです。マネージャになることで、プロジェクトではプロジェクトマネージャ(PM)を任されますし、プロジェクト以外でも部下ができます(教育や育成に責任を持ちます)。部門運営にも参加が求めれます。

 

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マネージャを目指そう

コンサルティングファームに転職して、コンサルタント職として働き始めたら、中長期のキャリアの目標としては、まずはマネージャを目指すことが良いと思います。

その人の転職時の経験や持っているスキル・知見等によっても異なりますが、第二新卒ではアナリストでの採用、25歳前後でコンサルタント、30歳以下では(シニア)コンサルタントのクラスがコンサルティングファームへの転職時の一応の目安だと思います。

30歳以下でマネージャとして採用というのは、同業他社などでマネージャに昇格している等の条件がなければ、なかなか難しいと思います。

シニアコンサルタント以下で転職・採用された方は、まずは中期目標としてマネージャを目指してキャリアを積むことが大切です。

コンサルティング職につくならば、マネージャになり1人でプロジェクトマネージャ(PM、プロマネ)として、プロジェクトを1つ完遂してやっと一人前と呼べるのではないでしょうか。

また、プロジェクトだけでなく、在籍する部門においても管理者となります。これは、若手メンバの育成、昇格者の選定、採用活動、新規サービスの開発等の様々な部門運営に関与し、責任を持つということです。

これに対して、シニアコンサルタント以下の仕事は、基本的にはプロジェクトでの業務が主であり、担当も部分的な分野・領域を担当することになります。プロジェクト全体という観点ではやはりマネージャにならないとできないことが多数あります。

また、先ほど、マネージャとなりプロジェクトマネージャとして、一つのプロジェクトを完遂して一人前と書きましたが、転職市場の面でも評価が大きく飛躍します。

 

 

マネージャでなければできないこと

プロジェクト管理(プロジェクトマネージャ)

シニアコンサルタント以下でも大規模プロジェクトなどでは、PMO等のロールを担当することはありますが、あくまでもサポートとしての役割です。
プロジェクトマネージャとしてプロジェクト全体を管理し、推進、品質面、収支面に責任を負うのはマネージャからの役割になります。

プロジェクトマネージャとは、プロジェクトの現場における責任者です。プロジェクトの推進、品質、収支、アサインを含む人的リソースの管理等すべての面において責任を負うことになります。プロジェクトの体制では、上にパートナー等が付きますが、パートナーは大規模プロジェクトではない限りは、週に1度の進捗ミーティングに参加するのみといった、部分的な関与になり、実質的な運営は全て、プロジェクトマネージャが行うことになります。

クライアントにとっては、まさにプロジェクトの顔であり、相談やクレームもまずはマネージャに持ち掛けるという事になります。(マネージャへのクレームは直接パートナーに行きますが・・・)

期間にもよりますが、2~3億程度のプロジェクトサイズであれば、マネージャが1人でプロジェクトを担当することがあり、進捗や課題対応、品質の担保等を確実に行わなければなりません。
プレッシャーは大きくのしかかります。

それでも、責任が大きい分、プロジェクトを完遂した時の達成感、充実感は、シニアコンサルタントの時とは比べ物になりません。

 

提案活動

クライアントから仕事を獲得するのはパートナー等が中心に進めます。ただし、サイズのかなり大きな提案以外は、プロジェクトと同様にパートナーが1つの提案にみっちりと張り付き手を動かすと言うことはありません。
クライアントへのドアオープンであったり、需要な場面での登場であったりするため、提案活動の主戦力として手を動かくのはマネージャになります。

具体的には、

ドアオープン パートナー
課題抽出・ソリューション検討 パートナー、マネージャ
提案書の構成作成 パートナー
提案書作成 マネージャ
提案書レビュー パートナー
プロジェクト計画作成 マネージャ
プロジェクト計画レビュー パートナー
プレゼン マネージャ

と言ったように、実作業を全てマネージャが担当して進めることになります。
※実際は複数のマネージャで分担します、場合によってはシニアコンサルタントもサポートで入ることもあります

場合によってはプロジェクトにアサインしたまま並行して提案を行いますので、タイミングが悪いと徹夜が続いたりしてハードワークになりますが、コンペで提案が評価されて獲得できた時の喜び、(プロジェクトとしてはこれからが始まりなのですが)達成感は大きいです。
逆に、Lostしたときの脱力感はもっと大きいですが・・・。

提案書は、コンサルティングファームがRFP(提案依頼書)等に基づいて考え検討した結果のソリューションの塊です。
コンサルティングファームの提案書への拘りは、知らない人が見ると異常と思えるくらいです(私も初めは驚きました)。
徹夜は普通にしますし、リード文の一言一句チェックされされ、「てにをは」や文字の揺らぎ、はたまた、図の色に至るまで、細かくレビューで指摘されることもありました。

部門運営

マネージャは、その名の通り管理者です。シニアコンサルタント以下の育成や昇格にも責任を持ちます。

また、採用にも関与することになります。中途採用の面接官、新卒の面接管を担当することになります 。
(面接官は全てのマネージャが同様に行うわけではありませんでした、私のファームでは特定の数名に集中していました)

それ以外にもナレッジの収集・整理、方法論の作成、部門独自の教育プログラムの作成、コミュニケーションプランの作成、新規サービスの開発等、細かく挙げていくとかなりの業務があります。

この中で個人的に経験できて良かったのが、新規サービスの開発でした。
(これも採用の面接官と同様にマネージャになったからと言って誰もが経験することではありません)

サービス開発では、担当する数名のマネージャが夜な夜なプロジェクト先から、本社に集合して、それぞれの経験・知見を活かし新しいサービスを考えました。
いろいろとディスカッションし場合によっては、他部門の人間を巻き込みつつ新しいものを作り上げるのはとても楽しかったですし、自分にとって良い経験となりました。

転職市場でも評価がUP

このような経験をしているため、転職を行うにしてもコンサルティングファームでマネージャのクラスであるか、ないかでは評価が大きく異なってきます。
特に同じコンサルティングファームの同業他社へ転職する場合は、マネージャクラスであるかないかで評価がかなり違います。もちろんマネージャのほうが、より市場価値が高くなります。

どこのファームでもマネージャにプロモーション(昇格)するのは大変です。
シニアコンサルタントとマネージャで比較すると、仕事での管理する項目が飛躍的に増加し、また、求められる質も次元が異なってきます。
このため、マネージャへのプロモーション(昇格)には、どこのコンサルティングファームでも、高いハードルが設定されています。

マネージャとして一つのプロジェクトをきちんと回す(推進)することができるか、というのは当然ですが、クライアントとのリレーションを構築できるか、クレームが上がった場合正しく処理できるか(状況を判断してパートナーにエスカレーションする)、熱意・誠意を持ちクライアントや若手に接することができるか、他様々な観点からコンサルタントとして、マネージャとしての資質を問われます。

このため、例え他のファームであったとしても、マネージャにプロモーションするような人材は、一定の基準を満たしている確率が高いことが期待できます。

これに対してシニアコンサルタント以下は、マネージャに比べると個人間のスキルや能力にばらつきがあり、必ずしも採用側の期待値を満たしていない場合もあります。

 

それに加えて、プロジェクトを品質・納期・コストのバランスをとり確実に推進することのできる、プロジェクトマネージャが絶対的に不足している現実があります。
※マネージャ = プロジェクトマネージャではありません。詳しくは後述します

近年では、外部のコンサルティングファームやSIerを使用せずに、社内だけでも仕事を進める場合でも、プロジェクトという形態をとって業務を進めることが多くなってきます。
これは、プロジェクトという単位で仕事を切り出す(区切る)ことにより、その目的をより明確化することができまし、また、明確化した目的を実現するための期間(開始と終了)および関わる人員、リソース、コストを把握することが、プロジェクト単位で管理されたほうが容易になり、費用対効果の分析も可能になります。
このような考え方からプロジェクトの数自体が増えてきていますし、今後はますます増えると予想されます。

また、会社組織の巨大化、グローバル化、業務の複雑化、企業外との連携等1つ1つのプロジェクトの難易度も上がり、かつシステム開発などでは、プロジェクト自体が大規模化してきています。

これに対して、プロジェクトマネージャとして安定的にプロジェクトを運営するためには、経験が必要になります。
想定外の問題に対する課題対応力やプロジェクト内外の様々利益が絡む人間とのコミュニケーション等、机上の勉強では身に着けることが難しい側面が多くあり、実際のプロジェクトマネジメント経験を積んでこそ、プロジェクトマネジメントスキルが身につきます。
このため、優秀なプロジェクトマネージャになるためには、素養だけではなく、どうしてもある程度の期間(プロジェクトを複数マネジメントする時間)が必要になります。
プロジェクトを安定的に推進するスキ身に着けるためには時間が必要です。

このような背景があり、転職市場では優秀なプロジェクトマネージャは評価が高く重宝されます(実際に優秀かは判断つき難い部分もありますが)。

このため、マネージャ、特に複数プロジェクマネジメントと経験しているマネージャは転職市場では評価が高くなる傾向があります。

 

マネージャだからと言ってプロマネができるわけではない

最後に注意してほしいのですが、マネージャにプロモーションしたからと言って、必ずしもプロジェクトをマネジメントするかと言うとそうではありません。
大規模プジェクトなどでは、マネージャがチームリーダをするようなことも良くあります。大規模プロジェクトでパートナーがほぼ常駐のもとPMOで参画と言うことも珍しくありません。

マネージャがチームリーダをやること自体は否定するつもりはありませんが、私自身はマネージャに上がったなら早い段階でマネージャが自分だけ、と言う状況でプロジェクトマネジメントすることをお勧めします。
前述の通り、現場の全てに対して責任を持つと言うプレッシャーもとても大きいです。しかしながら、やはりその状況でしっかりとプロジェクトを完遂してこそ「一人前」だと思います。

さらに付け加えるならば、継続案件で既に信頼関係ができている状態ではなく、全くゼロ(新規)のクライアントに対して、提案から自分が主体的にかかわりプレゼンも担当して案件を受注し、ゼロからクライアントとの信頼関係を築きプロジェクトを完遂できれば、何も言うことはないです。
一人前ではなく、もう立派なマネージャだと思います。

 

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