実際にSEから、コンサルタントを目指す方も多いと思います。事実、IT系に限れば、両者の業務のカバー範囲は比較的重複していると思いますし、親和性は高いともいます。

コンサルティングファーム、特にIT系のコンサルティングファームとSIer(システムインテグレータ)の違い、またそれぞれに属するコンサルタントとシステムエンジニア(SE)との違いは、具体的には何でしょうか

コンサルティングファームと聞くと、企業経営の立案などの所謂戦略系のコンサルティングファームの業務領域を想像する方が多いと思いますが、それ以外にもERPを中心としたシステムのデリバリ(構築)を行っていますし、スクラッチ開発を行ったりもします。
IT系のコンサルティングファームは、もちろんシステムをメインとしていますが、総合系のコンサルティングファームについても、会社全体の売上のなかの、システム関連の売上比率が高くなっている状況があります。

 このようなシステムのデリバリを得意とするファームは、海外に開発拠点を持ちオフショアで開発を行うスキームを持っており、巨大なプロジェクトを実施している場合もあります。

これに対して、SIerの多くも、コンサルティング部門・部隊があり、コンサルティングファームが得意としているERPの分野を含めコンサルティング部門よりサービスを提供しています。
また、積極的にコンサルティングの売り込みを行っており、一見すると両者は、同質の様に思われます。

そこで、コンサルティングファームとSIerの両者に在籍したことがある経験から、また、プロジェクトにおいても両者と数多く協業した経験から、両者の違いを考えてみたいと思います。

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目的意識の違い

私が感じる両者の一番の違いは、プロジェクトを実行する目的意識であると思います。
プロジェクトが同じシステムの導入であっとしても、コンサルティングファームとSIerでは、その目的意識が異なっていると思います。

コンサルティングファームの目的は、多くの場合において課題解決を最終ゴールとして考えています。
 クライアントが抱える課題解決の目的を達するための手段として、システムを導入という選択肢を選択し、課題解決のためのシステムを導入する事になります。

これに対して、SIerの場合の目的は、システム導入自体が目的となることがあると思っています。
プロジェクト開始時の目的が、システム導入となることが多くあります(少なくとも私がSEとして所属していた独立系のSI会社ではありました)。

コンサルティングファームは、通常、課題の抽出を行い、その課題を検討した結果、システムを導入するという手段を使って課題を解決します。
ただし、システムの導入は、問題解決の一つの手段であるため、プロジェクトによっては、システムの導入を行わずに、業務の見直しの提案をする、費用対効果や稼働までの期間などを検討の結果、BPOやクラウドソリューションという選択して課題解決することも、当然あります。

これに対してSIerの目的は、システムを導入するという部分にフォーカスしています。目的が明確であるため、分析や課題検討の時間を短縮し、システム導入・開発に資源を集中し、また、システム導入・開発に強い人材をそろえ、システムで最大限の付加価値を提供することができます。

これは、どちらが良く、どちらが悪いとか、優れている・劣っている等も問題でなく、クライアントに対するサービス提供の考え方の違いだと思います。

 

発注するクライアント側の立場から、一長一短・メリットデメリットを分析してみたいと思います。

コンサルティングファームへ依頼するメリット

  • 業務とシステムの両面の知見があるため、業務改革・業務設計の結果をシステムへ反映されやすい
  • (通常のプロジェクトでは)業務設計や業務課題を検討した人間が、システム設計を行うため、システム要件の祖語が発生しない
  • 場合によっては、経営戦略から業務改革、システム導入、運用保守までワンストップでサービスを提供することが可能
  • 信頼関係が築ければ、コミュニケーションロスが少なくなる
  • システム導入だけでなく、BPOやその他いろいろな選択肢を検討することができる

デメリット

  • 費用(コンサルティングフィー)が、SIerに比べて高価になりがち(一人当たりの単価と総額ともに)
  • プロジェクト期間が、業務調査なども行う場合があり、長期化する場合がある
  • 業務調査やヒアリングなどを行うため、現行業務担当者に対して作業が発生するケースがある

 

SIerへ依頼するメリット

  • コンサルティングファームに比べて、比較的短期・安価(一人当たりの単価と総額ともに)でシステムを導入できる
  • システム導入に特化しているため、より質の高いサービスを期待できる

デメリット

  • 業務改善等行わず、現行業務のままシステム化を行う(ことが多い)
  • 業務改革等を行う場合は、社内で実施するか、別のコンサルティングサービス等を利用する必要がある
  • このとき業務用兼とシステム要件に齟齬が生じる可能性がコンサルティングファームに比べ高くなる (設計者(SE)は業務要件をゼロから把握するため)

結論としては、コンサルティングファームとSIerのメリット・デメリットは、表裏一体の結果になると思います。

クライアントとしては、変革の対象に業務を含めたいのであれば、コンサルティングファームも検討対象とすれば良いと思います。
目的がシステムの導入やリプレイス等システムに限定しているのであれば、SIerに発注した方が有利なことが多いような気がします。
(実際私がコンサルティングファームでコンペをしたときにSIerに負ける場合は、このような場合が多かったです)

また、協業することも多数あります。
協業では、業務設計(システムのグランドデザインや業務フローの定義等)の主体をコンサルティングファーム、設計を協力して、詳細設計やコーディング・単体テスト等の開発をSIer等で分担して協力してプロジェクトを進めるといったケースも多く見受けられます。

業務調査等、クライアントに求める事項も増えてきます。更に、コンサルタントには、業務からシステムまでの知識が必要になりますので、システムに関連する知識の深さは、SE > コンサルタント※ となる場合が多いと思います。
クライアントは、コンサルティングファームへ課題回解決を依頼すると、ワンストップでできるというメリットもありますが。

※もちろん、SEの中にも、コンサルや業務担当以上に業務に精通した方も多数いますし、コンサルタントでも、業務は全くだがデータベースなら誰よりも詳しい場合など、一概にくくることはできませんが傾向として考えていただけると幸いです

また、コンサルタントであっても、プログラムの知識があると、良い場合がありますし、実際できる人も意外と多いです

課題の内容が分かっており、その課題解決の手段として、業務やシステムの仕様等が明確になっているのであれば、SIerを利用することで期間も費用も抑えることが可能になります。
通常であれば、コンサルティングファームのように、時間をかけて課題抽出等を行わないため、プロジェクトの期間を比較すれば短くなります。
また、プロジェクトに参加するSEのメンバは、コンサルタントに比べてシステム導入の経験が豊富であるため、深いシステム関連の知識を身に着けることができます。
知見を蓄えることで、より効率的に導入し、費用を抑えた提案が可能になります。

システムに付随するサービス

コンサルティングファームは、クライアントの課題解決を目的として考えているため、システムに関連する分野のサービスでも充実している点があります。

総合系のコンサルティングファームを含めて、コンサルティングファームのサービスには、FRP(提案依頼書)の作成サポート、(ERP等の)パッケージ選定、導入プロジェクトのPMOサポート、システム導入の業務アドバイザー等のシステム導入に付帯する(しかも、多くの一般企業が得意でない部分)をサポートするサービスが充実しています。

もちろん、SIerの人材でも対応することは可能なのでしょうが、コンサルティングファームの人材の方が、そのような経験を多く積んでいると思います。

また、コンサルティングファームとしても、新規顧客の拡大や継続受注のため、このような比較的少人数で実施するプロジェクトのサービスであっても、提供に力を入れています。

このため、クライアント側にもこのような認識が浸透していると思います。

実際、一般企業の情報システム部の業務担当者等が、RFP作成等の作業をしていて、作業が捗らない場合には、「とりあえず付き合いのあるコンサルティングファームに連絡をしてみる」というケースが多いのではないかと思います。

実際、このようなRFPの案件は、コンサルティングファームにとってはチャンスの到来で、多少値引きをしてもRFPの作成等に入りこみ、後続フェーズを自ファームで獲得する確率が少しでも高くなるように、いろいろと努力することがあったりします。

提案書の違い

目的の違いは、仕事を受注するための提案書にも如実に現れたことがありました。以下は提案活動の中で体験した話なります。

私は、現役のコンサルタントの時にはファームのマネージャとして、多数の提案活動を行っていました。
その提案の中にはプロジェクトの規模が大きいプロジェクトや自社のコンサルタントのスキルやリソースでは対応できない場合などでは、アライアンスのあるパートナー企業(SIer)の複数社と協力して提案することもあります。
各役割の部分をそれぞれの会社で提案書をフォーマットに従い作成し、持ち寄るという形式で提案書を作成する方法にしたのですが、目的意識の違いというのが現れていて、興味深かったので記載しておきます。

これまで書いてきたように、コンサルティングファームの意識は、問題解決にあります。
入社のときから、耳にタコができるくらいこのことをみっちりと教え込まれます。このため、作成するドキュメントについても当然、問題解決を意識して作成します。

さらに提案書ともなれば、ソリューションの塊であり、問題解決のための提案であるため、殊更この点(問題解決)を強調します。提案書には心血を注いで、全身全霊で作成します※。
※コンサルティングファームの提案書に対する拘り、情熱は異常と思えるくらい高いです・・・これも良いか悪いかは別としてですが。

提案書のソリューション部分の展開方法も(以下の展開の説明は乱暴で申し訳ないですが)、
 御社の業界や御社自身の××に問題がある認識(問題点の共有)
→問題解決のソリューションは○○を提案します
→これによって××を解決することが可能のなります、加えてこんなメリットもあります。
と言うように、順を追い問題解決をメインストーリーにして提案書を構築するケースが多いです(多少くらい冗長になってもしつこいくらい書きます)。
ファームやその部門の文化にもよる部分はあると思いますが、基本的にはリード文もみっちりと書き込み、言葉だけでスライドが説明できるまでに文章を書き込みます。

これに対して、SIerにより出てきた、提案パートは、いきなりシステム化からスタートして、システムの詳しい内容と言う具合でした。リード文もなかったり、記載があっても1文で「システムは、以下です。」や「概要は以下です。」と言ったような感じでした。

この提案書の違いも、どちらが良くてどちらが悪いというものではないと思います。
確かにいろいろと書き込んだ方が、詳しく、見た目も良く納得感は得られる確率は高いのかもしれませんが、結果的に受注につながるのは金額やスケジュールの部分が大切ですし、政治的な部分が大きいのも事実です。

また、ある一定以上は自己満足の領域な気がします。見た目が良くできた提案書も、分析の方向性が間違っていれば元もこうもありません。
綺麗に作る時間があれば、担当者に連絡を取るなりして提案の方向性を探るほうが大切ですし、ソリューションの内容が肝心です。ソリューションがずれていては、ただの自己満足のきれいなPPTです。
(コンサルティングファーム時代には、自己満足のPPTを多く見ましたし、私自身も作成した経験があります)

また、時間をかけるならば、プレゼンの練習のほうがよっぽど効率的です。

最後に

私の知る範囲、経験した範囲でSIerと属するSEとコンサルティングファームと属するコンサルタントについて書いてみました。

あくまで、知る範囲、私見となりますので、それは違う!という意見もあるかもしれません。ご了承ください。

近年は、システム化プロジェクト規模が巨大化し、売り上げが大きくなることもあり、コンサルティングファームもシステム構築プロジェクトに力を入れています

にSIerは、ブランド力の強化、知見の獲得等のため、より上流からプロジェクトを受注しようとしています(実際に多数受注しています)。
また、プロジェクトが複雑化する中で、嫌おうなく業務関連の知識を求められることも多く、自然と知識の蓄積が進み、両者の棲み分けはあまりなくなってきているのかもしれません

今後は、今後はさらにこの流れが加速し、もっと垣根が低くなり、そして、完全になくなることもあるのかもしれません。

ただし、私見ですが、まだまだ、この目的意識の違いがSIerとコンサルティングファームでは根底にあり、それがサービスの違いに現れ、結果として獲得するプロジェクトの違いに出ていると思っています。

根底に流れるものを変えるためには、もう少し時間がかかると思っています。表面は変わり、同質に見えたとしても、ふとしたきっかけに違いが出ることもあるのではないか、と思っています。

繰り返しになりますが、どちらが良い、優れているということではありません。
大切なことは、自分が転職を行う際、この違いをしっかりと理解したうえで、自分の志向に合わせて転職先を選ぶことが重要だと思います。

SIerもコンサルタントと同様に、プロジェクト単位で働くことが多いため、仕事の内容はプロジェクト次第という事はあります。
ただそれでも、システム構築の専門性を高めたい方はSIerでSEの方が良いと思いますし、業務知識を蓄えたい方やシステムだけでなくいろいろやりたい方はコンサルティングファームでコンサルタントを希望した方が、希望を満たす可能性が高くなると思います。

もし、SEの方で「コンサルティングファームに転職したい!」と思われる方がいらっしゃいましたら、下記にお勧めの転職エージェントをまとめましたので、是非ご一読ください。
お勧めの転職エージェントはコチラ

SEの方は、基本的にはプロジェクトでの勤務形態が多いため、(記事が長いため)最後のお勧めの転職エージェントの部分だけも読んでいただければ幸いです。

 

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