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コンサルティングという仕事の特徴

コンサルティングという仕事は、パソコンと名刺があれば仕事を開始することができます。そこに特別な設備(資本)などは、殆ど必要としません(と思います)。

コンサルティング業界への参入障壁は、比較的低く特に、知識・能力や豊富な知見を持つ個人や、ネットワークを持つ人間にとっては、特に低くなる傾向があります。

実際、私の知人にも、コンサルティングファームを退職後、会社を興し、社長をやっている人間が数人います。

コンサルティングビジネスを行うために必要なものと言えば、仕事を遂行して成果としてのアウトプット、付加価値の高いをアウトプット生むためコンサルタントの知識・能力、豊富な知見などです。

もう少し掘り下げて付加価値について考えてみたいと思います。
戦略系の分野のコンサルティング(ビジネスコンサルティング)における付加価値とは、その業界において、クライアントの企業の置かれた状況を分析し、取りうる可能性の中から、最善の選択を提言することになるのではないかと思います。

これが、オペレーションの分野であれば、自身の持つ知見をもとに、クライアント業務の課題の抽出および改善の実行となります。

同じようにITにおけるコンサルティングの付加価値であれば、業務的、IT的な知見に基づき、業務的、システムな要件を満たすシステムを構築するなどで表すことができると思います。

何れの付加価値とも、大規模な設備は不要であり、人的要素をもとにアウトプットが形成されることになります。

そして、このアウトプットは、個人の持つ知識・能力、知見などにより、品質が大きく左右されます。

戦略系のコンサルティングに代表されるように、同じコンディションでの仕事はまずありません。
これは、形式化が困難という事になります。このため、その都度状況に応じて、最善の手を選択することになります。
この選択がアウトプットの品質(コンサルティングの価値)を左右することになります。

このように、コンサルティング業界の特徴としては、

  • 参入に資本がほとんど必要としない
  • 組織に属する個人の能力に大きく依存する
  • 状況に応じて、毎回異なるアウトプットを求められる
    (同じアウトプットは存在しない)

を挙げることができます。

これに対して、飲食店をしたいのであれば、店が必要になりますし、製品を作りたければ、工場が必要になります(ファブレス経営は?等の声が聞こえてきそうですが・・・)。

このような工業製品を生産(メーカー等)する場合は、作成する仕組みを構築すると、同様(同質)の製品を大量に生産することで、利益を生み出すことが可能になりますが、コンサルティングビジネスは、同じコンディションでの仕事はありません。

このように、工業製品の生産と比べると資本の面や最終の成果物(メーカーの場合は、工業製品、コンサルティングファームは採取報告等)で対極にあります。

 

 

新規参入とコンサルティングファームの組織の拡大

 新規参入

参入障壁が低いコンサルティング業界において、新規に参入するファームは、比較的ニッチな領域や自身(自社)の得意な分野に資源を集中することで、成長を図ることが多くあります。
このような、スタートアップ間もない新興ファームは、主に特化系のファームに分類することができます。

また、このような特化系のコンサルティングファームが数多く生まれることで、コンサルティングの業界自体は多様化・活性化することになります。

新しい経営のテーマや新規のコンサルティング領域の開拓が行われると(近年でいえばビックデータの活用等が該当すると思います)、その分野の第一人者やもともと類似の知見を有していた人物、初期段階でプロジェクトを経験してノウハウを蓄積した者などが、一斉に特化系のコンサルティングファームを興します。

また、当然、総合系のコンサルティングファームや領域がシステムに関連するようであれば、IT系コンサルティングファームやSIerも挙って参入することになります。

新規参入組や特化系コンサルティングファーム等を含め、激しい競争が行われ、場合によっては、総合系に吸収されるコンサルティングファームや、新興でも徐々に別の分野に領域を広げ、規模を拡大させるなどしています。
(どの業界でも同じですが、この競争があるからこそ、コンサルティング業界の品質が担保・向上します)

 

組織(規模)の拡大

新興のコンサルティングファームが自身の得意な領域に特化し、また、様々な領域で生まれる一方で、既存のコンサルティングファーム(特にある程度大きな組織を持つファーム)は、規模の拡大を図ります。

新規事業を立ち上げ、その領域の経験者を大量に採用したり、場合によっては、他のファームより、チームごと引き抜くこともあります。
また、引き抜きだけでなく、新規参入や中小のコンサルティングファームを買収したりもします。

特別な設備を持たないことが多いコンサルティングファーム業界にとって、別のコンサルティングファームを吸収するという事は、買収する目的を端的に表せば、そこに属するコンサルタントであり、コンサルタントの知見、経験と言うところに帰結します。

「大金をかけて買収したのは、良いが、買収後には優秀なコンサルタントがほとんど抜けてしまった」等の買収する側にとっては、笑うに笑えない話もあるようです。

実際、買収や合併は他の業界に比べて多いと思います。

 

このようにして、コンサルティングファームは、組織の拡大に注力する傾向がありますが、一体何故なのでしょうか。

それは、コンサルティング業界は、その業態の特異性から、他の業界に比べても規模を拡大するメリットが大きい業界であるであるからだと思っています。

 

 

規模拡大のメリット

規模の拡大のメリットは、コンサルティングファームの内と外に分けて考えるとわかりやすいと思います。

 

ファームの外に対するメリット

  • ブランド力の強化
  • 顧客の囲い込み
  • 経営の安定化

ファームの内に対するメリット

  • コンサルタントへ様々な機会(プジェクト)の提供
  • 知見の蓄積・共有
  • バックオフィス系スタッフの効率化

このように、コンサルティングファームにとって、規模の拡大は様々なメリット生みます。

 

この中でも、特にブランド力の強化は、コンサルティングファームにとっては、とても大切なことになります。

コンサルティングファームの仕事の納品物は、プロジェクトで生成した、レポートや業務フロー、システムなどのアウトプットにあります。

もちろんプロジェクトの成果物は、契約時にはアウトプットはありませんから、クライアントはまだ見ぬアプトプットに対して契約を行うことになります。

クライアント、コンサルティングファームともに、まだ見ぬアウトプットをもとに契約することなり、コストを負担するクライアントは非常にリスクが大きくなります。

そのリスクを低減させる(契約を後押しさせる)ものが、そのコンサルティングファームのブランド力になります。
ブランドは過去の実績や、講演や著書の発表、またテレビ出演等いろいろなものによって形成されますが、結局のところ、人がコンサルティングファームのブランド力の源泉になります。

また、このブランド力は、コンサルティングファームの人材獲得に一役買うことにもなります。
ブランド力のあるコンサルティングファームは良い顧客、良いプロジェクトが集まってきます。そうなることで、良い顧客、良いプロジェクトを求めて優秀なコンサルタントや優秀なスタッフが集まることになります。

優秀なコンサルタントが集結することで、外部対してはメディアや講演等を通じてより活発に情報発信が行われます。

また、内部では、コンサルタントの持つ経験や知見が共有され成功事例などが増えます。
これにより、更にコンサルティングファームのブランド力は向上するという、プラスのスパイラルが形成されることとなります。

コンサルティングファームの人材の重要性

このように、コンサルティングファームの競争力の源泉となるブランド力でさえ、本質的には優秀な人材を源泉に生み出されることになります。

少し前に、「人材は人財」という言葉が流行りましたが、正しくコンサルティングファームにとってのコンサルタントは人財であり、優秀な人材が存在しなければ、コンサルティングファームにとっては、ファームの存続に関わる重大な問題です。

逆に、優秀なコンサルタントや人材が集まる環境さえ構築できれば、経営層は何の心配もしなくても、売り上げは上がり、組織の規模は拡大すると言っても過言ではないと思います(実際はそこまで短絡的ではないとは思いますが)。

だからこそ、コンサルティングファームは、優秀なコンサルタントの獲得に躍起になり、また、どんなに時間とお金と手間をかけても優れた能力・知見を持つ人材を採用したがることになります。

 

 

最後に

このように、コンサルティングビジネスとは、人が全てと言っても過言ではない程、(優秀な)人によって成り立つビジネスモデルです。

このため、コンサルティングファームは、当然の如く優秀な人材を渇望しています。

中途採用についても積極的に行っており、世が不況であったとしても、数自体は減るかもしれませんが、大抵のコンサルティングファームは中途採用を継続して行っています。

逆に、人が全てのビジネスモデルだからこそ、採用者は厳選したいという思いが非常に強いのも事実です。

このため、転職活動を行う上では、このようなコンサルビジネスの特徴を頭の隅に置きつつ、その求人の背景を踏まえて、どうすれば、コンサルティングファームにとって、自分が人財と認識してもらうかを考えアピールすることが、重要だと思います。

コンサルティングファームの求人の背景にも書いていますが、コンサルティングファームの採用には大きく分けて2つの流れがあります。 求人の背景は、転職エージェントより情報を仕入れ必ず把握します。

その上で、求人内容をしっかり分析して、それぞれの求人ごとにしっかりとした戦略を立てることが大切だと思います。

具体的には、求人内容と自分の経験の一致具合の確認、更に自分の得意分野との親和性を確認し、必要に応じて応募を見送ることも肝要です。

このあたりの匙加減は、転職エージェントは経験豊富であるため、自分に合ったキャリアアドバイザーを選び、アドバイスを受けつつ最終的には、自分で判断することが必要です。

 

 

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